尾之内さんのお話

平成23年6月23日(木)のみんつく会議の「チーム支えあい」にて、
「認知症家族のお話を聞く」の報告です。

話し手:認知症の人と家族の会 代表 尾之内直美さん

話を要約して、ご紹介します。

尾之内さんは、26歳のころから子育てと仕事を両立しながら、認知症となった義父とその後脳梗塞で寝たきりになった義母を介護され、その経験から3点のことを述べられた。

①一見、重度の義理母の介護のほうが大変と思いがちだが、実は、口が利ける義理父の方が大変で、外に出たいし、気になれば口が出るし関係性がどんどん悪くなっていった。介護は、ほんの些細なことの積み重ねで、亀裂が生まれる。
②口をだして手を出さない親族が大変であり、義理父のほうが大変にもかかわらず、義理母の方を大変だと、実際の介護に理解してくれないため苛立ちがあった。
当事者の昼夜逆転やできることができなくなること、プライドが強いということよりも、周りの人間関係や、本人との関係のほうが大変であった。
③介護家族に、ちいさな子どもがいて、年中ぐらいになれば少し理解でるが、2,3歳の子どもは無理で、よく義理父と本気でお菓子の取り合いをして困った。

そして、家族の心情としては、認知症は、時として、家族がいるとかかえこんでしまい、認知症を受け入れられない家族にとっては、近所の人に言われたくない、外に出したくない、とてもデリケートな問題でもあり、住民が家族に介入する難しさがある。
たとえば、何気に民生委員さんに、「ひょっとしてボケたのかしらん。」と言っただけで、気を利かせて関係機関に相談に行ってしまい、突然包括センターが尋ねてきて閉口したというエピソードを紹介し、「助けて」と言ったときに手を差し伸べてほしいのだ。
「気の毒」「かわいそう」という同情はいらない、偏見の目で見ない安心できる見守りがほしいという。

次に、認知症の早期発見が買い物でわかるというDVDを視聴した。
そのDVDでは、買い物でのトラブルから、家族の認知症に気づいたという介護者の体験談が語られていた。以下、簡単にまとめると、
①    お金の計算ができなくなり、札を出しておつりをもらうため、財布に小銭が増えたり、家中に小銭がある。
②    同じものばかり買い込んでしまう。
③    お店のカートを家まで持ってきてしまう。
④    思わぬ行動をとる。仕事のつもりで、陳列品をひっくり返す。指で押す。
⑤   レジで待てない。夫婦でトイレに行って、待ち合わせるつもりがいなくなってしまう。
など。でも、そういった行動を理解できれば、客として居合わせた私たちが、レジで、もたついていても怒らないで待つことをしてあげればいいとわかる。

以下、尾之内さんのお話から、「家族の会」での取り組みをまとめた。
①    家族の交流会
介護者は、介護した者にしかわからないという気持ちで、介護者の方が壁を作ってしまうため、介護者同士で、介護者主体の交流会を開催している。この取り組みは、各区社協いきいきセンターでも始まっている。

②    本人の交流会
認知症は早い段階でわかるようになったため、本人(特に若い人)の交流会を始め、家族とともに来て、家族のグループ、本人のグループに分かれて交流会している。認知症当事者の方が、沈んでいる人とか元気のない人に、「しょうがないじゃない」とか「大丈夫」とか声をかけることで、前向きになってくという効果がある。

③    シングル介護者の交流会
現在は、独身者が親と暮らしてして介護者になる数が増えてきた。男女半々の割合で参加されているが、就労問題を考え60代までとしている。

④    電話相談の開設
男性介護者が増えており、妻、母親の介護は下の世話などで精神的に追い込まれ虐待に発展していく。他にも、無理心中や自殺もある。話すことで気持ちが整理でき、行為を防ぐためにも電話相談は有効である。 → (リーフレット「死なない!殺さない!」)

⑤    DVD マンガ冊子で認知症の理解を伝える
DVDや冊子(「マンガで学ぼう認知症」)を作成し、ポルトガル語、中国語などの外国語バージョンもあリ、認知症の理解をわかりやすく伝えている。

⑥    「認知症買い物セーフティーネット」
認知症の気づきが、買い物がきっかけであることがわかり、「認知症の人も外に出て買い物がしたい」という気持ちと、気のつく店員さんがいると助かるし、理解してもらえるだけで安心という家族の思いが「認知症買い物セーフティーネット」の取り組みになった。お店の人に、認知症の人の行動とコミュニケーションのとり方を学んでもらい、「認知症買い物安心マーク」というステッカーを貼ってもらう。
ユニーが、積極的に取り組んでいて、アピタ大府店で認知症のパネル展を行う。
また、9月21日はアルツハイマーデーであり、その時期に合わせ、スーパーにのぼりを設置してもらう取り組みを行うので、各業者への随時展開を行う。

最後に、「介護者憲章」を紹介してくださった。

参加者には、住民の他に、区役所福祉課職員さん、障害者地域生活支援センター職員さん、介護保険事業所職員さん、いきいきセンター職員さん、市社協職員さんがおり、それぞれの立場で、課題と対策のヒントを得られたようで持ち帰って反映したいというコメントをいただいた。
また、参加者が、「認知症を認知することが必要であり、気遣いできる、分かり合える社会にするために、子どもたちに学校で教えてほしいと思う。また、対応を考えたときに、『ダメ』で規制するのでなく、やりたいことをやらせる見守りが大事だと思う。」という感想は、とても印象的だった。

以上を踏まえて、「チーム支えあい」としての展開は、
①まずは、認知症サポター養成講座をたくさんの人に受講してもらう。
②買い物で家族が気づく認知症を広めていくと同時に、どのように対応したらいいのかを伝え、認知症を理解してもらう。
たとえば、)レジで並ぶときには、待つことの大切さ。怒らない。
③家族の気持ちをふまえた介入のしかた、見守りについて考えていく。
安易に、かわいそうなど同情をしない。
頼まれないのに、世話を焼かない。『助け』といえる関係性をつくる。
安心できる見守り。ダメと言わない見守り。偏見の無い見守り。
④ 学校など、子ども、若い世代にも伝えていく。
若いから関係ないとかでなく、いつか自分がそうなるという生き方として、また、成熟する社会を形成するためには、成熟した人間力が必要で、気遣いができる関係性を築くために、切り口として「認知症の理解」を、ぜひ、福祉教育で実施してもらうようにアピールする。

以上です。

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