11月28日(月)午後1時半から3時半まで、ハーモニーのメンバー8人、研修会に参加してきました。
758キッズステーション主催で、東区の子育て支援者向けの研修会として、東区の主任児童委員さんと一緒に参加しました。
日本福祉大学教授の渡辺顕一郎先生が講師に。
『「イマドキの親」とのギャップを考える』と題してお話を聴きましたので、少しご報告をします。
日本のGEM(ジェンダーエンパワーメント指数」(人間開発報告書 2009より)は、全国108カ国中57位です。上位は、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド。ドイツが8位、フランス17位、アメリカ18位となっています。
このGEMとは、女性の政治参加や経済界における活躍、 意思決定に参加できるかどうかを表す指数です。
つまり、先進国である日本は、女性の社会進出がまだまだ進んでおらず、男女の賃金格差も埋まらない状況だということです。
その背景にあるものは、国土・人口・面積であると、渡辺先生は話します。
上位の国は、面積は日本より大きいのに、人口数は、スウェーデンは約925万人で神奈川県ほど。ノルウェーは479万人で愛知県の人口から名古屋市の人口を引いても少ないくらいの人口数です。その少ない人口で、国土を守るためには、男女関係なく働ける人は働きましょうということになり、制度として、働く男女の賃金格差はなく、子どもの保育所も高齢者の暮らしも国でまかなうことに成り立っていったのです。その反対に、日本は、面積が小さいのに人口が多いため、特に戦後、働き手は半分の男性でよく、半分いる女性は、働かなくてもよいことにした。つまり国策として、「女性は家庭。男性は仕事」という性別役割分担になったのです。
なるほど。
たしかに、現在の3歳までの子どもがいる母親で、仕事を持っている人は約30%程度。専業主婦が多いという事は、男性はまだまだ子育ての大変さをわかっていないのかもしれません。
そういった日本の社会背景を説明された後、今の15歳子どもたちの幸福感の調査も引き合いに出されました。日本の子どもたちは、孤独だと思う割合が30%もいて、他の国を引き離しています。
「自分はだめな人間だと思う」という問いには、「まあそう思う」「とてもそう思う」を合わせると、56%、つまり半分以上の子どもたちがダメと思ってるのです。
渡辺先生は、日本の子どもの自己肯定感を育むことができない現代社会の中で、子育てしている母親たちは本当に大変だといいます。
では、子育て支援(応援)者である私たちは、何をするべきか。
まず、こういった状況の中で子育てしている親たちの理解をし、子どもが自己肯定感を持つための応援をしてほしいというのです。
渡辺先生は、3つの提言をされました。
1つ目は、「地域で子育てを支えるネットワーク」として、横のつながりと縦のつながりが必要で、縦は「世代を超えた子育て経験の受け渡し」で、横は「現役世代の支えあい」ということで、まさしくサロンやひろばで、出会いとつながりを作っていくことだといわれました。
2つ目は、「先回りの育児」をやめましょうということです。この先回りの育児というのは、子どもの自発性を止めることになり、思春期の自律を制してしまうといいます。けんかやおもちゃの取り合いは、子ども同士のコミュニケーション力や交渉能力を育むものであって、できるだけ介入せず、子ども同士での解決を見守っていこうといわれました。
3つ目は、安心できる場所(母性)から外の世界へ出すはたらき(父性)から外で困ったときに助けられる体験。これが、地域に信頼感を持つのであるといわれました。
最後に、親や親以外の人が、自分をかわいがってくれることで信頼が生まれその人が好きになる。その人と過ごす場所が安心できれば、自発性が生まれ周りの人とかかわりだす。その自発性を受け止め、その子の個性を大切にすると、またその人を好きになる。この繰り返しが、自己肯定感を育んでいくのだと説明されました。
私は、渡辺先生のお話を聴くのは3回目になります。毎回聞いても、うなずくことばかりで、いつも子育て応援をする際の自分の初心を取り戻します。
子育てに100%完璧などありません。私自身の子育てもいまだに不安を持ちますが、そこそこやってきたから、大丈夫だろうと思うようにしています。そこそこがどのくらいなのかでハードルをあけてしまいそうですが、そこそこです。「しまった!」ことも繰り返しながら、もう一度子どもに寄り添う。こどもはお母さんが大好きで、お父さんが大好きで、そのお母さんとお父さんがにこにこしているのがうれしい。単純なことを思い出しながら、立ち止まりながら、子育てしていけば、何とかなるような気がします。
そして、今度は応援する地域のおばさんとして、小さい子どもはかわいいです。何をしててもかわいいです。そのまなざしを忘れずに、お子さんと接し、親ともよい関係につながっていけたらなと思います。
2時間という講義でしたが、大変わかりやすく、また初心に戻らせていただきました。
今回参加できなかったスタッフがいますので、別の日にレクチャーしようと思っています。
この報告も、少しは役立つのであれば幸いです。